BMW i7がシャトー・ド・ベルン(※リンク先は英語サイトです。)へ向かう並木道をゆっくりと走るとき、あなたは頭の中でこの光景にぴったりのBGMを探さずにはいられなくなるでしょう。プロヴァンスの中心、大きな森の奥にある緑のオアシスの中にいると、自分だけの時間に浸っているように感じられます。小さくエレガントな田舎の村のような佇まいのこの5つ星のラグジュアリー・ホテルは、カンヌから1時間ほど離れたロルグとフラヨスクの間にあり、色とりどりの庭園に囲まれています。緑、赤、黄の花や木々に囲まれたプールは、太陽の光を受けてさまざまな色合いのブルーに輝きます。
18世紀に建てられた建物は、今では人々がリラックスして楽しめる有名な安らぎの場となっています。緑の空間や自然との密接な関係は、この特別な歓びの旅の目的地である「ル・ジャルダン・ド・ベルン」(「ベルンの庭」の意)という名前にも表れています。レストラン前の噴水のある小さな石畳の広場にBMW i7を停めているところへ、料理長のルイ・ラモーがかごいっぱいの野菜を抱えてやって来ました。絶妙なタイミングです。
食通に人気のシャトー・ド・ベルンのレストランは、ミシュランの1つ星を獲得しているだけでなく、サステナブルな美食への取り組みを評価するミシュラン・グリーン・スターも獲得しています。ジャルダン・ド・ベルンでは、野菜やハーブ、蜂蜜、花は自家菜園から、オリーブ・オイルはホテル所有のオリーブの木から得ており、ワインは所有するブドウ畑のブドウから生産しています。グリーン・スターは権威あるものであるとともに、新しい高級料理の方向性を示すものでもあります。ラグジュアリーの概念は長年の間に変化してきました。
かつては贅を尽くすばかりであったものから、生産物、生産工程、そして産地をより深く理解するものへと移行しつつあります。ラモーはこの新しい世代のシェフを代表する存在です。彼にとって、認定された喜びもさることながら、自分の作った料理がお客様に評価されるのが何よりの喜びなのです。彼は穏やかで落ち着いた雰囲気をまとっていますが、レストランに向かう途中、野菜かごの中身について語る言葉の端々には料理に対する情熱が感じられます。
昨今、ラグジュアリーとは、単なる物理的な物体をはるかに超えて、唯一無二の体験や特別な感情といった一見はかなげに見えるものも含むと考えられています。シェフのラモーが重視するのはまさにこのようにエモーショナルな瞬間で、彼は次のように語っています。「私はお客様を、プロヴァンスを巡る感性の旅にお連れしたいと考えています。私が大切にしているのは料理がお客様にもたらす感情です。BMW i7の後部座席にいるかのように目を閉じて背もたれに身を委ね、一つひとつの食材の味わいが頭の中に鮮明なイメージを呼び起こすこと。それが私にとってのラグジュアリーです。ただ高価なものを集めることではありません」
サステナブルな高級レストランでメニューを考案するには、自動車工学と同じように、常に伝統と革新の融合が必要になります。供される料理は地域的なバックグラウンドを反映し(:Sustainable indulgence in South Tyrol - エコ・コンシャスな旅:南チロルでサステイナブルに)、伝統的なレシピを取り入れたものであるべきで、新しい技術や料理法は創造性の幅を広げてくれます。2020年3月にジャルダン・ド・ベルンの料理長に就任したラモーが提唱するのは、シンプルな正統派の料理です。
彼の才能と創造性は、プロヴァンス地方の豊かな食材、とりわけホテル所有の3,000 m2の菜園で有機栽培される農産物を使った料理に現れています。「私のように自然を愛する者にとって、シャトー・ド・ベルンは限りなく豊かで刺激的な冒険の場です。自家菜園があるため、トマト、ネギ、ニンジン、ホウレンソウ、ズッキーニ、ナスといった自然が与えてくれる最高の食材を使うことができます。そして、サフランを始めとしたスパイスや調味料、自家製オリーブ・オイルを使って、食材本来の味わいを大切にしています。自然は私たちがコントロールできるものではなく、また私たちもコントロールしようとは思っていないので、自然に合わせて自分たちのやり方を変えていく必要があります」
食材は最高の状態でお客様に提供されるべきです。したがって、野菜や果物、ハーブは季節の変化やホテル所有の菜園の収穫量にあわせて供されます。サステナブルな農業、季節、近距離、小さなサイクル:「肉、魚、野菜は地元の生産者のみと取り引きし、可能な限り最善のサステナブルな方法を模索します。たとえば私たちは、地元の養鶏業者から入手した鶏に地元のチーズ生産者から出た残り物を餌として与えたり、厨房から出る生ごみを堆肥にして自分たちのブドウ畑の肥料として利用したりしています」
BMW i7の生産でも同じようにサステナビリティと短サイクルが重視されます。そのためにディンゴルフィングの工場では、グリーン・エネルギーの使用に加え、さまざまな工夫を凝らされています。これには、ボディ生産工程に使用されるロボットの再利用、塗装工場で使用される資源のさらなる削減などが含まれます。また、新たにカソード・ディップ・コーティングとドライ・スクラバー用のラインを稼動させることで、水とエネルギーの使用量がさらに大幅に削減される見込みです。ほかにもサステナブルな生産には、エネルギー効率の高い機械設備、パッケージング・プランの導入、物流、リサイクル、水管理などが考えられます(➜ さらに読む:Sustainability in every car BMW builds - BMWが生み出すクルマは、すべてがサステイナブル)。
ラモーは若い頃からフランス南西部の伝統的な料理に興味を持ち、新しい料理の創作や発見に情熱を注いできました。高級料理の世界に限らず、未来は常に、現在の変化に対する取り組み方と密接に結びついているものです。そのため、創造力を養い、自分自身を成長させるためのインスピレーションを得るべく、ラモーは祖国を離れることを決意します。できる限り多くの調理法を学ぶために世界一周の旅に出発し、カナダ、マルティニーク島、ノルウェー、デンマーク、ニュージーランドなどの老舗レストランの厨房で冒険を繰り広げました。
「世界を自分の目で見て旅することは、私や私のチームの最も重要な特徴のひとつです」と、ラモーはシェフズ・テーブルに案内しながら語ります。レストラン「ル・ジャルダン・ド・ベルン」の奥にあるこの重厚でエレガントなテーブルでは、お客様がシェフたちの料理の技を間近に体験できるようになっており、ガラス張りのドアからはミシュランの星を獲得した厨房をじかに見ることができます。ラモーがとりわけ大切にしているのは、自分のチームです。「賞を取るような料理は常にチームワークの賜物です。チーム全員が新しいことに挑戦する勇気を持つ必要があります。新たなことに挑戦し、未知のものに立ち向かう覚悟があるのなら、途中でうまくいかないことがあっても問題ありません。新しい料理の創作は複雑なプロセスです。失敗が許され、そこから学べるようでなければなりません。未来を受け入れるこの姿勢は最後には必ず報われます」
この姿勢は、レストランの厨房と同様、BMWが自動車工学の未来を考え、BMW i7のような未来のモビリティやラグジュアリーを開発する際に、既成概念にとらわれることなく自由に発想するためにも役立ちます。だからこそBMWは、サステナブルな素材やエココンシャスな愉しみ、デジタル・アート、新しいテクノロジー、都市の今後のトレンドまで、幅広い分野の先進的な考えを持つ人々と対等に意見を交換したいと常に考えています(➜ さらに読む:THIS IS FORWARDISM – the audio series with the designers of the future (※リンク先は英語サイトです。)- これぞフォワーディズム – 未来のデザイナーと語るオーディオ・シリーズ)。
ラモーは、厨房の仕事を始める前にホテル所有のオリーブ畑にあるオリーブの品質をチェックしなければならず、その数は5,000本以上です。このちょっとした小旅行に、今日は電動ゴルフ・カートに代わり、BMW i7の後部座席に座って出発しました。大通りを抜け、ラグジュアリー・ホテル「シャトー・ド・ベルン」の象徴的な宿泊施設のひとつである塔のようなヴィラを通り、深い緑の森へと下るルートです。ラモーはすぐにパノラミック・ガラス・サンルーフに気づくと、自分たちのレストランを思い出す、と言いました。レストランの一部は絵のように美しいガラス張りの温室になっており、溢れるような光が差し込むのです。ラグジュアリーな体験では、建築とデザインが重要な役割を果たします(➜ さらに読む:Auto design – how to create a classic - 名車は、いかにして生まれるか)。
ル・ジャルダン・ド・ベルンでは、料理長のラモーと彼のチームがそれぞれの食材に隠された真実を探り、新しい組み合わせ、珍しい取り合わせ、驚くべき食感を生み出すように自然が定めた本来の意図を尊重しています。「私たちは食材を余すことなく使います。これは食材をより身近に感じられるようにするためであり、季節ごとに変わるメニューを考案するための真のインスピレーションの源となります」。レストランには、5皿または7皿のコース、厨房に面した専用の席で供されるシェフズ・テーブルの特別コースが用意されています。一皿一皿の料理は、守られた環境と洗練された雰囲気の中でテーブルを越えて広がる個人的な出逢いを演出します。「ル・ジャルダン・ド・ベルンの予約を取ることは、レストランに到着してからさらにまた別の旅に出ることを意味します」
ラグジュアリーに対する認識の変化、産地の明確化を含む食材の見直しや新たな食材の採用により、(食の)旅の新しい魅力に対する関心も高まっています。金?ダイヤモンド?ロブスター?キャビア?和牛?予想どおりのラグジュアリーは過去のものです。新しいラグジュアリーは、ありきたりでないディテールで私たちに驚きをもたらしてくれるのです。ドライバーが近づくとBMW i7の上部にクリスタルをあしらったヘッドライト(➜ さらに読む:The new light on the road - 新たな輝きをまとって走る)が特別な光のショーで迎えるように、ラモーと彼のチームは、あらゆる取り合わせと調理法でプロヴァンスの蜂蜜に敬意を表した前菜や、菜園のバーベナと合わせたマリネからソルベまで、シンプルと思われがちなトマトのあらゆる魅力をも引き出す一皿でもてなします。
ル・ジャルダン・ド・ベルンの厨房で働くチームは、それぞれの食材のポテンシャルを最大限に引き出すことに情熱を注いでいます。「食材の価値は値段では決まりません。食材の魅力を最大限に引き出し、それをできるだけ料理に取り入れることが重要です。すべての食材は同等に扱われるべきです。品質が最高であれば、私にとってトマトもトリュフと同じ価値があります」。この新しい考え方は、BMWがフォワーディズムという言葉で提唱する「今とは違う世界を実現できる可能性があり、疑問を持つことが大切である」という考えと同じです。
ラモーは、レストランの前のテーブルに蜜蝋、蜂蜜、花粉を使った料理をセンス良くセッティングしながら笑顔で回想します。「私はたくさん旅をしてきました。基本的な食材をより洗練されたものにするために、いろいろなことを経験し、新しい技術や道具、調理法について学びたいと考えたからです。10年前には実現できなかったこの料理のような一皿をつくるために。未来の料理を探し求める旅は今も続き、野菜とハーブを栽培している私たちの菜園にも大きな計画があります」。高級リゾートの敷地内にはまだまだ十分な土地があります。数年後にラモーと彼のチームがどんなアイデアを繰り出してくるか、いったい誰にわかるでしょう?インスピレーションを得るべく、料理のパイオニアを求めてBMW i7で向かう次の目的地、日本も視野に入れているかもしれません(➜ さらに読む:染織家・冨田 潤さんとBMW 320d xDrive M Sport Edition Joy+でめぐる 自然豊かな里山から生まれる染織)。
記事:Markus Löblein、アート:Shin Miura、Madita O‘Sulllivan、写真:Martin Bruno、Château de Berne、 Martin Dejoie、Olivier Rotte、Lea Gil