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カーボン・ファイバー:自動車の製造に革命を起こした素材。

カーボン・ファイバー:自動車の製造に革命を起こした素材。

記事を読むのに必要な時間:約5分
CFRP、焼成、カーボン・ファイバー、ロービング-自動車の製造におけるカーボン・ファイバーの話題は、専門用語で溢れています。この記事では、難しい専門用語をわかりやすく解説し、カーボン・ファイバーとは何か、それはどのように作られるのか、そしてこのハイテク素材の魅力についてお伝えします。

2021/3/1

自動車の製造にも使われ、今後ますます重要性が高まる素材、それがカーボンです。車のボディやインテリア、アクセサリーなどにもこの黒いハイテク素材が採用され、高級感とスポーティさを同時に醸し出しています。多くのエンジニア達も、低比重で高い強度と剛性を持つカーボンに魅了されています。しかしながら、このカーボンの生産には、非常に手間のかかるプロセスが必要となります。見た目の美しさと価値の高さから「ブラック・ゴールド」とも呼ばれるカーボン。ここでは、この最先端素材に関するすべてをご説明します。

カーボンに関する3つの確かな事実

 

  1. カーボンは、軽量で強固。
  2. カーボンは、見た目も独特。
  3. カーボンは、主に手作業で製造される。

 

カーボン・ファイバーとは何でしょうか?

自動車製造におけるカーボン・ファイバーとは、通常CFRP(カーボン・ファイバー強化樹脂)のことを指します。これは、さまざまな特性を持つ成分を組み合わせた複合材料の一種です。以下の記事では、「カーボン・ファイバー」という用語を使用します。

自動車の製造において、カーボン・ファイバーは、いつ、どのように使用されるのでしょうか?

カーボン・ファイバーは、自動車に用いられるような軽さと安定性が求められる部材に最適です。航空宇宙産業(→詳しくはこちら:The Vantablack BMW)をはじめ航空機、船舶および自転車の製造にもカーボン・ファイバーが採用されています。自動車製造においてのカーボン・ファイバーは、最初にレーシング・マシンに採用されました。モータースポーツでは数十グラム単位でタイムも変わるため、レーシング・マシンの開発には軽量化構造が大前提となるのです。その後、量産車にも採用されるようになりましたが、ここまでの歴史は、かつて使われていたカーボン・ファイバーに関するものです。

BMWにおいてこの素材は、例えば、 BMW M models (→詳しくはこちら:BMW Mのロゴとカラーの変遷)のルーフやBMW M Performance Partsのアクセサリーなどに採用されています。この記事では、主にボディ構造およびエクステリアに採用されたカーボン・ファイバーに焦点を当てていくとしましょう。BMW 7シリーズのカーボン・コア・ボディ、そしてBMW i8(→詳しくはこちら:未来的なクラシック※リンク先は英語です。)およびBMW i3の電気自動車では、パッセンジャー・セル(→詳しくはこちら:世界のE-mobility)にカーボン・ファイバーが採用されています。

カーボン・ファイバーにおけるBMWのこれまでの経験は、BMW iXにも恩恵をもたらしています。CFRPを自動車に組み込むプロセスはドイツのライプツィヒとランツフートにあるBMW工場で行われますが、繊維自体は米国のモーゼスレイクにて焼成されて炭素繊維となり、ドイツのヴァッカースドルフの工場でシート状のCFRPを積み重ねたスタックが製造されます。

炭素繊維が目に見えるカーボンのファブリック構造は、視覚的にも独特の魅力を放っています。このハイテク素材を好む方なら、BMW M Performance Partsで高品質かつスタイリッシュなカーボン製アイテムを見つけることができるでしょう。魅惑的なカスタマイズを実現する多彩な選択肢が揃っています。エンジン・フードから、インテリアおよびエクステリアのデザイン・エレメント、ディフューザーに至るまで、BMWはより幅広く効果的なカーボンの用途によって、お客様のさまざまなご要望にお応えします。

カーボン・ファイバーはどのようにして作られるのでしょうか?

イラスト カーボン・ファイバー 車 カーボン・ファイバーはいくらするのか カーボン・ファイバー製車体 カーボン・ファイバー製自動車部品 BMW カーボン・ファイバー

カーボン・ファイバーは、自動車の製造においてシャシー・コンポーネントやBMW M Performance Partsといったアクセサリーなどに使用される複合素材です。原料は炭素繊維と、マトリックス(母材)となる熱硬化性樹脂で、これは合成樹脂を含むさまざまなで素材で作ることができます。このマトリックス樹脂には、繊維同士を繋げ、そのすき間を埋める役目があります。また、合成樹脂は室温で長時間放置すると硬化するため、コイルに巻かれた状態でマイナス18°Cで保管され、次の加工プロセスの1日程度前から再び室温まで温められます。

カーボン・ファイバー自体は極めて細く、人間の髪の毛の10分の1程度の太さしかありません。安定性を得るためには繊維の向きが極めて重要で、特定の角度においてのみ炭素構造の強度が最大限に発揮されます。車両構造パーツ向けの次の工程では、独立したこれらのフィラメント約5万本が組み合わさり、ロービングと呼ばれる繊維の束となって丸められます。エクステリアなどのカーボン・エレメント向けには、およそ3千本のフィラメントが使われます。そしてすべての方向での剛性を確保するために、異なる繊維方向のロービングを積み重ねたものが「スタック」です。

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これらは次に型に入れられ、「焼成」されます。「オートクレーブ工程」とも呼ばれるこのプロセスにおいては、熱硬化性マトリックスが、120°Cの温度と高圧に2時間ほどさらされ、硬化します。樹脂が固まった後、最終的な形状に成形されると、カーボン・ファイバー製の自動車部品の完成です。ボディなどの大型のエレメントでは、必要に応じて接合による成形も可能です。そして、表面はクリア・ラッカーでコーティングされます。その結果、カーボン独特の特徴的な構造が目に見える状態のまま、素材が保護されるのです。

目に見えるカーボン・パーツは、主に手作業によりきわめて巧緻なプロセスを経て製造されます。単一のコンポーネントを作るのに丸1日かかる場合もあります。準備、切断、オートクレーブでの硬化、脱型、切削加工、ラッカー塗装-すべてに時間のかかる工程ですが、これによって極めて高いクオリティと高級感がもたらされます。

カーボン・ファイバーにはどのような性質があるのでしょうか?

カーボン・ファイバーほど、優れた特性と可能性を持つ素材はありません。まず最大の利点は、高い剛性です。カーボン・ファイバー素材の構造は極めて安定しています。またこの素材を採用した自動車部品は、大きな衝撃エネルギーを吸収することが可能です。つまり、カーボン・ファイバーは適切な場所に使用されることで、車両安全性を最大限に向上させます。

もうひとつの利点は、比重が小さいことです。最も重要な軽金属のひとつであるアルミニウムによるボディ構造は、カーボン製のものに比べ20~30%重くなることがあり、スチールではこの差が50%にまで広がることもあります。重量が少ないということは、燃料や電気の消費量が少ない(→詳しくはこちら:電気自動車とプラグイン・ハイブリッド・モデルの特徴)ということを意味し、カーボン・フットプリントの低減にも寄与します。そして、カーボン・ファイバーの採用が、よりスポーティな走行性能を実現するということも忘れてはなりません。理由は簡単です。「より軽い」ということは、「より速い」ということだからです。

カーボン・ファイバーには他にも、用途に合わせてほぼあらゆる形状に部品を成形できる点や、耐腐食性とそれに伴う長寿命性、低熱膨張性、長期的な耐熱性と疲労強度といった利点があります。これらの性質は、カーボンの生産にかかる手間やコスト面での欠点を差し引いても価値のあるものです。つまり、早急に技術革新を進め、生産量を増やすべき素材なのです。

このような軽量化と機械的特性を両立できる素材は、カーボン・ファイバーをおいて他にはありません。しかも、BMW M Performance Partsに見られるように、感性の研ぎ澄まされた人々を魅了する独特な外観も備えているのですから。

画像:BMW、記事:ニルス・アーノルド、イラスト:ツィプリアン・ロートリンガー

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