国内男子ゴルフのメジャー大会「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」が、6月2~5日に茨城・宍戸ヒルズカントリークラブで開催された。今年から冠スポンサーとなったBMWが作り上げた空間は好評を博し、多くの人が新たな歓喜と感動を味わった。
最終日最終組の18番グリーン。比嘉一貴プロは2mほどのバーディパットを決めれば優勝という状況で、あまりのプレッシャーに一度アドレスをほどいた。「全身が震えていて、このまま打っても球に当たらないと思った」。張り詰めた空気と静寂に包まれていた会場に、一瞬のざわめきが起こる。
その緊張感は、カップから目と鼻の先の距離にある「BMW VIP LOUNGE」にも伝わってきた。臨場感、という表現だけでは収まらない。そこにいる人たちにとっては、もはや一緒に18番グリーンに身を置いているようだ。わずかな震えを残しながらも仕切り直した比嘉プロは、見事にウイニングパットを決めて右こぶしを力強く振り下ろした。
優勝した比嘉プロは、副賞として「BMW iX xDrive50」を獲得
「プロゴルファーは車での遠征が多いですけど、移動が快適になりますね」。さらに、DPワールドツアー(欧州ツアー)「BMW International Open」(6月23日~26日、ドイツ・ミュンヘンで開催)の出場資格も手にし、宍戸から世界に羽ばたくきっかけをつかんだ。
また、3日目には尾崎慶輔プロが13番パー3(165yd)でホールインワンを達成し、優美さと強大なパワーをあわせ持つ「BMW M850i xDrive Gran Coupe」を獲得。ややアゲンストの風が吹くなか、コントロールショットでピンを狙ったボールはグリーン手前に落ち、そのままラインに乗ってカップに吸い込まれた。「いい球だと思っていましたが、まさかですね」。7番アイアンのひと振りで、この日の主役の一人となった。
そんな数々の印象深いシーンが生まれたなかで劇的な決着の舞台となった18番グリーンには、今年から設営された大型テントが取り囲み、まるで海外ツアーの最終ホールを切り取ったかのような景色。これまでの大会とは明らかに違う雰囲気を、石川遼プロは「PGAツアーみたいですね」と表現した。
アメリカ男子ゴルフのPGAツアーでは、こうした大型テントは多くの試合で設置される。「その中でプレーすることで『ツアーに出ているんだな』と実感することができるんです」。石川プロは、かつて主戦場としていたPGAツアーで見慣れていた光景を、日本でも味わえたことに大きな喜びを感じていた。
この雰囲気は、単に“ハード”を整えれば作り上げられるわけではない。石川プロは言う。「アメリカはトーナメントを楽しむ文化が違う。日常にはないものを求めている中でゴルフを楽しみにきてくれている」。そんな「本物」の雰囲気を作り上げるため、BMW VIP LOUNGEでは「ゴルフ場でこんなものが食べられるなんて」と来場者を驚かせたハイレベルなコース料理とアルコールが振る舞われた。
もはやゴルフ観戦の場というよりも、華麗な社交場。そして、手を伸ばせば届きそうな距離ではトップレベルのプロゴルファーたちがメジャータイトルをめざして真剣勝負を繰り広げている。このBMW VIP LOUNGEを利用できるのは、「BMW VIP」および「BMW VIP アフター・トーナメント大会」などの特典が付く「BMW ULTIMATE VIP」「BMW PREMIUM VIP」のいずれかのチケットホルダー。広々とした室内でブルガリとのコラボレーションによるコース料理に舌鼓を打ち、ワインを楽しみながら語らう人々。テラス席に出れば、18番グリーン上の争いを特等席で堪能できる。
こうした施設は、ホスト側にとっては大事なスポンサーやお客様をおもてなしする場。ゲストは特別な扱いを受けることに喜びを感じ、至福の時間を過ごせることが理想だ。海外メジャーの観戦経験があるエグゼクティブにも「質は負けていない」と満足させた、高いクオリティ。宍戸ヒルズでは、まさにそのような空間が作り出されていた。
優雅に食事を楽しみ、あるいはグラスを傾けている観客の目の前でプレーすることは、出場した選手にとっても、これまでとは異なる特別な体験だったのだろう。トーナメント期間中には、複数の選手が関係者に「こんなに素晴らしい試合をやってくれて、ありがとうございます」と感謝の意を示し、優勝した比嘉プロも「コロナでスタンドを作らなくなった大会も多くなった中で、こんなに立派なスタンドを作っていただいてありがたいです」と話した。
大型テントに隣接する「BMW OWNERS’ LOUNGE」では、開放的な空間でゆったりとビュッフェ形式の食事やドリンクを楽しめるだけではなく、今年10月のローンチを予定している「ニュー7シリーズ」を展示。実車を見られる最初の機会とあって、車両に乗り込んで感触を確かめるファンも多かったようだ。一般チケットの保有者でもBMWのキーを提示すれば入場可能とあり、連日多くの利用者でにぎわいを見せた。
特別な時間を過ごせる場所はラウンジ内だけにとどまらない。一定グレード以上のチケット保有者には、特定ホールの最前列でより選手に近いところから観戦できる「エキサイティングエリア」を用意。さらに会場内の一部エリアでは、「BMW iX」と「BMW i4」を試乗できる「テスト・ドライブ」が実施された。ゴルファーにはクルマ好きも多い。プレーが行われている間近で最新の電気自動車を運転できるまたとない経験に、試乗を終えた人たちの高揚した様子が伝わってきた。
ツアープレーヤーの頂点を決めるメジャー大会を、特別な経験とともに優雅に楽しめる新たな観戦スタイル。選手とギャラリーが共有した興奮と感動が、次なるアイデアを生み出すための源泉となる。来年大会を、それからも続くツアー最高峰の戦いを、会場にいる全ての人がより満たされる舞台へ昇華させるために。BMWが目指す世界基準のトーナメントに向けて、確かな第一歩を踏み出した。