1933年、BMWとして初のオリジナル4輪車「303」が登場。当時、ラジエーターグリルといえば大きな1枚ものが一般的でしたが、他車との差別化を図るために縦に2分割したことがキドニー・グリルの始まりだと言われています。ちなみに「キドニー/kidney」とは英語で「腎臓」を意味する言葉。エンジンルームに空気を取り込むための構造が、同時にブランドのアイデンティティとして確立されていることは、駆けぬける歓びをたいせつにするBMWならではと言えます。
2014年発売されたBMW初の電気自動車i3ではラジエーターグリルは不要なため、クローズドタイプのキドニー・グリルを採用。2017年に発売された5シリーズ以降では、空力を改善し燃費を向上させるためキドニー・グリルに開閉式のアクティブ・エア・ストリームを搭載するなどさまざまなバリエーションがあります。およそ90年間ものあいだ、時代ごとにブラッシュアップしながらも、基本のデザインを変えることなく愛され続けているこのキドニー・グリルは、何世代にも及ぶBMWのエンジニアとデザイナーの揺るぎないこだわりの象徴です。走りとデザインを切り離すことなく両方を磨き続ける限り、未来のBMWにもこのキドニー・グリルは、存在し続けるのです。