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Future of Tech – エピソード1:エンターテインメント

記事を読むのに必要な時間:約5分
特集「Future of Tech」(テクノロジーの未来)では、BMWの革新的なデジタル製品とそれに携わる人々をご紹介します。BMW 7シリーズに搭載されるBMWシアター・スクリーンが、現在そして未来の車内エンターテインメントにもたらす、エキサイティングな可能性を印象的に映し出します。

2023/2/21

交流電力量消費率(WLTCモード)184 Wh/km
一充電走行距離(WLTCモード)650 km

ドライビング・エクスペリエンスの完全な再構築:技術の進展はドライバーと同乗者にとっての新しい体験と密接なつながりがあります。デジタル技術は今や日常生活と切り離せない存在で、未来の自動車においても、かつてないほどの大きな役割を果たすものとなるでしょう。BMWでは、この進化に関わるだけでなく、さらにそれを後押ししたいと考えています。

BMWが技術的な機会や課題をどのように捉え、その革新的な精神でモビリティの未来の構築に役立つソリューションを開発しているかについてお伝えします(➜ さらに読む:Electric car facts from around the world - 各国のeモビリティ事情を知る、世界ツアーへようこそ。)。パスカル・ティーセン博士とセバスチャン・シプルはエンターテインメント分野の専門家で、BMW 7シリーズ用のBMWシアター・スクリーンの開発において、リヤ・シート・エンターテインメントをまったく新しい次元に押し上げました。

セバスチャン・シプル BMW Groupカスタマー・エンターテインメント・プロダクト・オーナー

セバスチャン・シプルは電子技術エンジニアとしてBMWの開発部門に長らく従事しており、エンターテインメント部門が実質的に社内の別会社と呼べる存在になっていく経緯を見てきました。また、中国における競合他社の分析を通して、デジタル・サービスが急速に浸透し、人々に受け入れられる様子も目の当たりにしてきました。現在のカスタマー・エンターテインメント・プロダクト・オーナーという役割では、何よりもまずBMWオーナーが新しい技術に寄せる熱意がモチベーションとなっていると言います。

セバスチャン・シプルとパスカル・ティーセン博士は、BMW 7シリーズに搭載されるBMWシアター・スクリーンの開発に携わった、BMWエキスパートのうちの2人です。

セバスチャン・シプル(左)とパスカル・ティーセン博士(右)はチームと共に、スタート時から製品完成までBMWシアター・スクリーンの開発を推し進めてきました。

パスカル・ティーセン博士 BMW Groupエンターテインメント、In-Car-Store、アプリ開発部門

父親がBMWで働いていたこともあり、パスカル・ティーセン博士は子どもの頃からBMWというブランドに親しみを感じてきました。現在は、クルマのデジタル化とそれによって生み出される体験に魅了されています。デジタルの可能性を秘めたさまざまなツールボックスを活用して、お客様のために素晴らしい製品を生み出すことを専門とし、5年間にわたって自らのチームと共にBMW 7シリーズに搭載する新しいBMWシアター・スクリーンの開発に従事してきました。

BMWは、2022年の時点でドライバーや同乗者の状況をどのように理解しているのでしょうか。また、新たな視点でのエンターテインメント体験において、BMW 7シリーズのインテリアはどのような特別な機能を提供するのでしょうか?

パスカル・ティーセン博士:BMWのブランド価値の中心はFreude(ドイツ語で「愉しみ、歓び」)であり、これまでドライバーの支持を集めてきたのは「駆けぬける歓び」というスローガンでした。それが、これまでもこれからも、変わることのない私たちのミッションです。しかし近年、このメッセージはさらなる広がりを見せています。Freudeがもたらされるのは、限界までクルマを走らせるとき、コーナーをスムーズに曲がるとき、あるいは加速するときだけに限りません。Freudeは同乗者と共に車内で体験するものでもあるのです。私たちの目標はFreudeを車内の誰もが体験できるようにすることです。

セバスチャン・シプル:私たちはこれを念頭に、BMW 7シリーズの車内に言わばリビングルーム体験を作り上げました。そしてもちろん、後部座席ではBMWシアター・スクリーンが極めて特別な役割を果たします。31.3インチという、これまでの量産車の中では最も大型のディスプレイが採用されています。

BMW i7 xDrive60のBMWシアター・スクリーン。

さまざまなディスプレイ・メーカーに最初に問い合わせをした段階では、誰も31.3インチもの大型ディスプレイを備えたBMWシアター・スクリーンの量産化が実現するとは信じていなかったでしょう。しかし、一度でもBMW My Modeのシアター・モードを体験すれば、なぜ製品化に向けてメーカーを説得する価値があったのかがわかります。

ドライバーの記憶に残るものといえば、かつては格別に愉しいヘアピン・カーブのある山道でしたが、これからはBMWの車内で見た映画やドラマということになるのでしょうか?

セバスチャン・シプル:これからも山道を駆けぬけることが愉しいことに変わりはないでしょうけれども、答えはイエスです。たとえば初めてのデートの際、BMWシアター・スクリーンで映画を一緒に観たとなれば、その時間はきっと記憶に残るはずです。それは、お客様とBMWをつなぐまったく新しい思い出の形になります。私たちのデジタル戦略では、新しい「歓びの瞬間」について語っています。

「私たちは歓びに満ちた瞬間を生み出します」
セバスチャン・シプル

BMW Groupカスタマー・エンターテインメント・プロダクト・オーナー

BMWシアター・スクリーン

BMWシアター・スクリーンは、BMW 7シリーズの後部座席に装備される31.3インチ、アスペクト比32:9のパノラマ・ディスプレイです。解像度は8Kで、Amazon Fire TV、5G対応のパーソナルeSIMを利用して映画やドラマなどのストリーミングが可能です。オフライン・コンテンツ用に128 GBのストレージも用意されています。シアター・モードでBMWシアター・スクリーンを下ろし、外界と室内空間を視覚的に遮断すると共に照明も調整できます。BMWシアター・スクリーンはオプションのリヤ・シート・エンターテインメント・エクスペリエンスに含まれ、BMW 7シリーズの全モデルで設定可能です。*

おふたりは、車載技術および車載エンターテインメントの専門家として、これまでにない新しい課題に敢然と立ち向かってこられました。

セバスチャン・シプル:ここ数年、コンテンツはデバイスやメディアが限定されるものから、ストリーミングやクラウド・アプリを介していつでもどこでも愉しめるものへと移行してきました。こういったサービスはシームレスに利用できなければなりません。自宅のリビングルームでストリーミングしたドラマを見た後、すぐにBMW 7シリーズの後部座席に座ったとすれば、同じサービスを利用してドラマの続きを愉しめないかと期待するのは当然です。BMWシアター・スクリーンはそのような期待に応えてくれます。クルマは今やデジタル領域の一部であり、お客様のデジタル・ネイチャーの一部なのです。

パスカル・ティーセン博士:お客様は、BMWの技術的な挑戦を期待しているわけではなく、ただ、リビングルームのソファで体験できることを車内でも愉しみたいと望んでいるだけです。そこで私たちは、そのために最高の体験を作り上げたいと考えました。車内での用途、特にドライバー向けのエンターテインメントは少し未来的なものに聞こえるかもしれません。しかし今日、自動車の充電のための休憩を取るときなど、すでにそれが利用されているのを目にします。自動運転の世界になれば、このようなことがさらに増えるでしょう。

キャプテン・チェアと31.3インチ8K BMWシアター・スクリーン・リヤ・シート・エンターテインメントを備えた、BMW 7シリーズのエグゼクティブ・ラウンジ。

BMW 7シリーズ用オプションのエグゼクティブ・ラウンジに含まれるキャプテン・チェアから、BMWシアター・スクリーンを思う存分愉しめます。スクリーンは、リヤ・ドアに装備されているタッチ・コマンド・ディスプレイを使用して、または直接スクリーンをタッチすることで操作できます。

パスカル・ティーセン博士:誰でも何か特別な体験をしたときは、笑顔でクルマから降りることがあると思います。BMWシアター・スクリーンも、まさにそのひとつです。巨大なディスプレイが下りて来るのを初めて目にしたときや、スピーカーから流れる音を単に聞くだけでなく、音を感じられたとき、人々は笑顔を見せます。私には7歳と10歳の息子がいるのですが、あるとき私がテスト車両を持ち帰ると、自分たちがどこを走っているのかなど急に気にしなくなりました。後部座席に座ること自体が特別な体験になったようです。夜は家で映画を愉しむ予定が、子どもたちの希望により車内で観ることになったときもありました。時には子どもの目線でクルマを見るのも悪くないものだと思います。

タッチ・コマンド・ディスプレイはBMW 7シリーズのリヤ・ドアと一体化しています。

BMW 7シリーズはより広いスペースとより優れた快適性を備えており、さまざまなデジタル技術を指先ひとつで扱いながら、自宅に居るかのようにくつろぐことができます。スイッチの数は操作性を考慮して大幅に少なくなっています。

幸い、子どもたちは、このようなシステムの開発から量産化に至るまでの過程がどれほど複雑なものかを知りません。

セバスチャン・シプル:開発プロセスは非常に複雑です。それは間違いありません。最終的には、技術だけではなく哲学に関わること、すなわちBMWにふさわしいかどうかということがあります。何と言っても、信じられないほど愉しく走れて当然なのがBMWなのですから。

パスカル・ティーセン博士:BMW 7シリーズでは、ドライビング・エクスペリエンスに加え、後部座席をまったく新しいレベルのものにしたいと考えました。このタイプのクルマのリヤ・シートはビジネス・パーソンの生産性を上げるためだけに役立つ、というイメージを抱く方も多いでしょう。しかし、エンターテインメントや、ゆったりと深く腰掛けてリラックスして愉しむことも、お客様にとって同じくらい重要な役割があります。特に、ご家族やお子様たちは、後部座席で過ごすことも多いですから。これは、この製品開発が誰のためであるかを念頭に置いて行われなければならない、ということを意味します。そこで私たちが求めたのは、映画館のような雰囲気でした。それには巨大スクリーンだけでは不十分です。シート、抑えた室内照明、そして4Dサウンドが多次元の感覚をもたらします。

ただし、クルマというものが何十年にもわたって進化してきた複雑な製品であること。そして、膨大な特性や要件を備えながら、多数の極めて特殊な形状の部品で構成されていることも忘れてはなりません。BMW 7シリーズの課題は、言ってみれば、BMWシアター・スクリーンを中心にクルマを再開発することでした。たとえば、ディスプレイが大型になれば車内全体のエアフローが変わるため、エア・コンディショナーに影響します。プライバシー上の観点から車内を外部から遮蔽する必要がある一方で、周囲の道路利用者の妨げにならないように配慮することも必要です。また、いかなる状況であっても、ディスプレイによって同乗者が危険にさらされるようなことがあってはなりません。パッシブ・セーフティを確保するため、スクリーンの展開や格納に必要なすべてのメカニズムは、万が一車両が横転しても破損しないよう厳重に強化されており、安全ガラスも採用されています。

これまで、このような種類の技術はコンセプト・カーやTVのリアリティ番組ぐらいでしか目にすることはありませんでした。突然、量産化が実現したかのように思われます。

セバスチャン・シプル:極めて重大なひとつの挑戦が、安全面だけでなくお客様に感動的な体験を提供するという点においても、BMW内部の品質要件を満たしたということです。BMWシアター・スクリーンは、スウェーデンのマイナス40 ℃の低温にも、ドバイの50℃の高温にも耐えなければなりません。競合車両に対するUSPを確立した上で、今後も未来のインテリアにおけるデジタル体験の創出に注力していきます。

パスカル・ティーセン博士:大型スクリーン自体は素晴らしいものですが、それに見合うコンテンツがないことには、いかに最高のハードウェアであっても意味はありません。そこで、私たちは時間をかけて多くのメーカーと相談し、ログインや面倒な登録手続きなしに、自宅と同じ慣れ親しんだ方法で、可能な限り最高のコンテンツを車内でも愉しめるようにしました。あらゆるジャンルのエンターテインメントを豊富に提供できるであろうAmazonと提携した理由はそこにあります。しかし皆さんがお考えになるほど、ことは単純ではありませんでした。すべてが揃っているからといって、それを車両に組み込めば済むというわけにはいかず、特にソフトウェアの開発は困難を極めました。

独自のメカニズムや規格を持つエンターテインメント向けのエレクトロニクスを、まったく用途の異なる自動車の分野に取り入れなければなりませんでした。一般家庭では常時電力が供給されますが、自動車は必ずしもそうではなく、1週間もあればバッテリーの電力を使い果たしてしまうこともありえます。それは省エネ機能が突然関連してくることを意味し、そうなれば異なるトリガーや信号も必要になります。また、リビングルームではインターネットの接続環境も安定しています。しかし、自動車は僻地などでネットワークの圏外を走行することもあるため、可能な限りコンテンツをオフライン状態でも利用できるようにしておく必要もあります。

BMW 7シリーズに搭載されるカーブド・ディスプレイと、アンビエント・ライトおよびエア・コンディショナー操作用のインタラクション・バー。

BMW 7シリーズで印象的なのはBMWシアター・スクリーンだけではありません。各種アプリを使用できるカーブド・ディスプレイも魅力です。下部に設けられたインタラクション・バーはアンビエント・ライトやエア・コンディショナーの操作用です。

「人々を笑顔にする可能性が、このような製品の設計へと、私を駆り立てるのです」
パスカル・ティーセン博士

BMW Groupエンターテインメント、In-Car-Store、アプリ開発部門

移り変わりの激しいデジタル分野と長期的なスパンで捉えるべき事柄について、どのようにお考えですか?

パスカル・ティーセン博士:もちろん、私たちは常に未来の技術や動向を注視してきました。独自のプラットフォームで非常に将来性があると思われるものや、高解像度8Kのハードウェアを生み出すことにも重きを置くのはそのためです。たとえば、開発当初、ディズニープラスはまだ存在さえしていませんでした。私たちは敢えてBMWにとって普通ではない道を選択し、Amazonとのパートナーシップを開始しました。これにより、開発はおのずと世界最大手のテクノロジーカンパニーのひとつである同社のエコシステムに沿って進められ、お客様に最大限の多彩なコンテンツを提供できるようになるでしょう。

マッサージ・シートおよびBowers & Wilkinsのスピーカーを搭載した、BMW 7シリーズにおけるBMW My Modeのリラックス・モード。

BMW 7シリーズでリラックスしたいときには、BMW My Modeのリラックス・モードを有効にすることで、マッサージ・シートを作動させながら、Bowers & Wilkinsのスピーカーから流れるサウンドを愉しむことができます。

自動車業界は現在、特にデジタル化に関して非常にエキサイティングな時期を迎えています。ご自分が何か素晴らしいものを作り上げることに関わっていると感じられることがありますか? BMWに限らず、業界全体についてお聞かせください。

セバスチャン・シプル:デジタル化は信じられないほど急速に進んでおり、そのスピードにどう反応していくかは私たち次第です。すでに準備は万端で、非常に長期的な計画も立てました。今後さらにソフトウェアの改良を続け、更新のために車両を持ち込まなくてもワイヤレスでお客様に更新データを提供できるようにする予定です。成功に安心して努力を怠ることなく、常に緊張感を忘れず、一つひとつ確実に次のステップへ進めていきます。

パスカル・ティーセン博士:自動車業界には厳格な安全要件が課せられ、またこれまで述べてきたようにさまざまな適用分野が関わってくるため、常にデジタル化の最先端にいるというわけにはいきません。しかし、クルマは多くの人々にとって日々の生活、移動手段、自己表現の重要な一部です。エンターテインメントを始めとしたさまざまなサービスにより、私たちは今、新たなデジタル時代にふさわしい、BMWならではの歓び「Freude」を提供するチャンスを手にしています。

記事:Tassilo Hager、David Barnwell、アート:Verena Aichinger、Carolin Wabra、写真:Laura Schaeffer、動画:BMW

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