ミュンヘンにあるBMWグループの研究開発センターで、BMW ビジョン ノイエ・クラッセの最初の見学ツアーが行われるのは、まだ早朝のことです。デザイナーとエンジニアが作り上げたビジョン・ビークルは、BMWの将来のクルマにおけるキャリブレーションの基準となっています。
見学者は施設の廊下を通り、オフィスやチェックイン・スキャナーを通り過ぎると、小型エレベーターで3階のプレゼンテーション・ルームに案内されます。そして、事前に許可されたゲストのリストと自分の名前を照合し、チェックマークを付けます。最後に、個人の携帯電話を鍵のかかった戸棚に預けたのち、ゲストはデザイナー、エンジニア、マネージャーたちに迎え入れられました。
この春の朝は、何かが違う気がします。大きな窓ガラスから暖かな光が差し込み、見学者の雰囲気も、子どもがワクワクするかのような歓びにあふれています。彼らはすぐに、これがいつもの勤務日とは違うことに気づきます。
一目見ただけでも際立つ、BMW ビジョン ノイエ・クラッセの明らかな個性。ノイエ・クラッセの象徴として、BMWの歴史における次の飛躍を示すビジョンを正確に体現しています。クリーンなラインと無駄をそぎ落としたインテリア・デザインによる、親しみやすく穏やかな存在感。それは、温かく家庭的でありながら、明らかに現代的でもあります。選び抜かれた素材(➜ 詳細はこちら 素材がもたらす魔法:アクセントを生み出す技術)、印象的で革新的なテクノロジー、そして形状に至るまで、そのすべてが新しいにもかかわらず、このクルマを親しみのあるものにしています。
この印象をおそらく最もよく表している1つのディテールがあります。それは、再生プラスチック製のサイド・スカートにさりげなく記された、「FUTURE IS BRIGHT」の文字です。
この言葉は、前もってどこにあるか知らなければ、肉眼ではほとんど見えません。そのため、「イースター・エッグ」のような存在として知られています。 それは、太陽光が絶妙な角度でサイド・スカートに当たらなければ、見逃してしまうほど。デザインチームも、当初は正式な承認を得ずに気まぐれで追加したと明かしています。ですから、誰も気づきませんでした。
一見すると、ささいなディテールですが、その象徴性には大きな力があります。デザイン・チームは、この偶然のように見える小さな追加要素を加えることで、ノイエ・クラッセの背後にあるビジョンの核心に迫ることに成功しました。ノイエ・クラッセは、単なるショー・カー以上の、また新しいデザイン言語(➜ 詳細はこちら カー・デザイン:BMWのDNA)や新しいテクノロジー、プラットフォーム、あるいは純粋に戦略的なコンセプト以上の、大きなアイデアです。それは、考え抜かれたイノベーションが、より優れた持続可能なインディビジュアル・モビリティへの道を切り開くという明確な信念であり、私たちとクルマの関係を永遠に変える可能性を秘めていることも示唆します。ノイエ・クラッセは、BMWグループにとって大きな変化をもたらします。ミュンヘンの、この晴れ渡った春の朝、私たちにビジョンを示してくれた関係者全員のアイデアと信念は、明るい未来を約束するものです。
記事:タッシロ・ヘーガー、マイケル・ザイツ、アート:ルーカス・ルムース、ジョアン・テルモ・パレイラ、写真:BMW、コラージュ:クリスティアナ・クセイロ