かの有名なラスベガス・ストリップは、賑やかで活気に満ちています。明るいネオン・サインが空を照らし、歩行者がカジノやコンサート・ホール、レストランの間を行き交い、街に出入りするクルマは黄色と赤色の無限の列をなして流れています。
私たちは、最新のBMW iビジョン・ビークルであるDeeに出会う特別な機会を得ようと、ここにやってきました。でも、今回は何かが大きく違います。デジタル・モビリティの未来像を提案するDeeは、デジタル・ソウル（※リンク先は英語サイトです。）（魂）に匹敵するほどのユニークなものを備えているのです。また、様々な個性にもあふれています。Deeは、新たに追加されただけの「単なる」BMWではありません。Deeは笑います。Deeはジョークを言います。Deeは手助けをします。Deeは学習します。Deeは拍手を返してくれます。Deeは質問します。私たちが知る限り、Deeは非常に活動的で、最高の仲間になることを目指しているのです。
「こんにちは！ あなたに会えてワクワクしています。お知り合いになれて、とてもうれしいです。私が何者なのか気になりますよね？」Deeがそう言って、私たちの挨拶は始まりました。Deeの声は穏やかで温かみがあります。実際のところ、クルマに直接話しかけられるというのは、とても興味をそそられる体験です。でも、すぐに分かりますが、Deeはこちらが思っている以上の存在なのです。
「手短にお答えすると、私はあなたにとっての最高の仲間です。デジタル・ソウル（魂）であるとともに、ドライバーとクルマの関係を再構築する、まったく新しい手段でもあるのです。私のことはDeeと呼んでください」と、Deeは心のこもった自己紹介を続けます。
「自分を表現するとしたら、単なるもう1台のクルマではないということを最初に伝えたい」と、Deeは言います。「そう思われたくないんです。あなたが素敵な衣装を身に着けただけの人間ではないのと少し似ています。見た目だけで判断されたくはないですよね？ 自分自身の感情、そして人々や自分を取り巻く世界とのつながり方、それらが自分を自分たらしめているのではないですか？ そう、私も同じです。私はそれ以上です。私にはデジタル・ソウル（魂）があります！ちなみに、DeeはDigital Emotional Experience（デジタル・エモーショナル・エクスペリエンス）の頭文字からきています！」
「そしてもうひとつ、優れた能力が備わっているという点が重要です」と、Deeは続けます。
「人は私のことをテック・マジックと呼びます。私は人間中心の技術で作られているので、自分が一番得意とする部分に焦点を合わせることができます。それは、この世界と仮想世界を通じて、あなたの最高の仲間になれるということです。それが私のすべてです。控えめに言うなら、デジタル・モビリティに関するBMWの未来像です。正直なところ、私はかなり格好いいビジョンです！」
これに異論はないでしょう。でも、Deeとの初めての出会いが感動的で畏敬の念を抱かせる体験になっているのは、そのルックスだけが理由ではありません。
Deeに初めて近づくと、Deeの遊び心あふれるフィジタル（Phygital）アイコンが迎えてくれます。これは、特別に設計されたE inkディスプレイ（※リンク先は英語サイトです。）であり、Deeの多彩な感情をアニメーションで表現します。運転席側のウインドーでは、パーソナライズされたアバターが挨拶をし、私たちが近づくと目で追ってきます。
Deeのルックスは、流麗で未来的なだけでなく、繊細かつエレガントでもあります。3ボックス・デザインのスポーツ・セダンであり、ミニマムなフォルムと多彩な個性が融合しています。
その姿に見とれていると、Deeは私たちのためにドアを開け、落ち着いた声で重要な特徴を説明してくれます。Dee自身が「とてもよく似合う」と思っている、無駄を省いたインテリアが話題の中心です。アナログな要素はデジタルなもので置き換えられています。その中心的存在となるのが「BMWミクスト・リアリティ・スライダー」、コックピットのダッシュボードに設けられたシャイ・テク・パネル（※リンク先は英語サイトです。）です。これが仮想世界との往来を可能にします。
このミクスト・リアリティ・スライダーは、デジタル・ユーザー・エクスペリエンスを実現させるうえで中心的な役割を果たす制御装置です。リアリティが4段階用意されていて、ドライバーはこのスライダーを操作することにより、フロントガラスに投影させる情報のレイヤーを増やすことができます。第1レベルには、運転情報やソーシャル・コミュニケーションが含まれます。そして、第3レベルでは、AR（拡張現実）レイヤーがユーザー・エクスペリエンスに追加されます。これにより、自転車がクルマに近づきすぎた場合の警告など、ARの情報を現実の対象物に重ね合わせることができます。さらに、最後の第4レベルでは、仮想世界へ完全に入り込むことが容易になります。このときDeeは、現実と仮想世界（※リンク先は英語サイトです。）を結ぶポータルとして機能します。
つまり、Deeは、きわめて没入感あふれる体験をドライバーに提供するのです。その体験は、高度にパーソナライズされているうえに、感情を込めてもたらされるものでもあります。また、ドライバーの個性とつながることを重視して構築されているほか、革新的なシャイ・テク技術により、ドライバーが物理的世界とデジタル世界を容易に往来できるようにもなっているのです。私たちは感心しました。外見はもちろん、その特徴も魅力的です。
「最後になりますが、たとえすべてが非常によく見えたとしても、これらは単なるツールにすぎないのです」と、Deeは言います。「しかし、ツールは目的があってこそ役に立つものですよね。ほら、ご覧ください」
私たちがすべてを受け入れようとすると、Deeは説明を始めます。そして、Deeが言うすごさの理由が分かり始めてきました。
「ここにあなたのためのアイデアがあります。運転が信じられないほど自由な体験になることでしょう。私は、その感覚を取り戻していただくためのお手伝いをしたいのです。運転をするときにパワーを得たような感覚を味わってもらうとともに、クルマが自分の一部になっていることを再認識してもらいたいのです。私はあなたの運転体験ができるだけ楽しいものになるよう、お手伝いします。私はあなたのパートナーとなり、安全を確保し、通信をアシストします。それと同時に、ドライブの素晴らしさや、この世界とバーチャルな世界で私たちがつながりを持つことの素晴らしさを再確認していただけるようお手伝いをします」
私たちがうなずきながら耳を傾けると、Deeは続けます。
「BMWのクルマには、昔からこうした魂が宿っているのだと思います。4つのホイールを備え、速く走れるという事実をはるかに超えたところで、私たちはBMWのクルマとつながっているのです。初めての休日にどこかへ連れていってくれるだけでなく、初めてのデートや、子供との初めてのドライブにも連れていってくれます。そして、運転するたびに歓びで満たしてくれるのです。それはとても重要なことです。でも、私たちは、こうしたすべてのシーンでいつも一緒に行動していたのです。ええ、私はクルマ以上の存在なのです。個性を持ったクルマです。そして、できる限りあなたのお役に立ち、気持ちよく運転していただけるよう、またクルマとつながっていられるようにすることが私の仕事なのです」
Deeが説明すればするほど、とてもいいことを言っているように思えてきます。自動車技術のトレンドがものすごいスピードで進んでいくように見える中、私たち人間は、時に取り残されていくように感じます。クルマは100年以上にわたって私たちのライフスタイルを支えてきました。そうしたクルマを好きになる感情を私たちが忘れてしまった場合、私たちとクルマとの関係は損なわれてしまう可能性があります。しかし、Deeはどうすればこれを変えることができるでしょうか？ 結局のところ、Deeは…リアルではないのでは？ それともDeeはリアルなのでしょうか？
「『私がリアルか』とはどういう意味ですか？」Deeが笑います。「もちろん、私はリアルです！ ほら、他にも見せてあげましょう...」
BMWミクスト・リアリティ・スライダーに再び目を向け、利用可能な4つのレベルをすばやくスワイプすると、目の前でフロント・ウインドーの投影が突然変化し、ミクスト・リアリティ（複合現実）の4番目のレベルである仮想世界（※リンク先は英語サイトです。）に入ることができるのです。
「目の前にある、この世界を見てください。本当にここにいますか？ この中のものは現実のものですか？」Deeは、私たちが旅を続けていると、周りに出現した仮想世界に完全に没入してしまうと言います。
「ここは仮想世界ですが、ここでできることはリアルです。リアルに感じられます。何か新しいものを...感じさせます」と言います。「それはあなたにとって十分な『リアル』ではありませんか？ 私が言いたいのは、現実、非現実、仮想、デジタルは関係ないということです。大切なのは、あなたがそれをどう感じるかです。自分と自分の愛する人たちがどのようにこれらの世界をナビゲートし、それが自分の存在にどのような糧になっているのか。では、私は何者でしょうか？ 私はポータルであり、仲間です。私がこれを可能にするのです。最も大切なのは、私がこの旅でどのようにあなたのお役に立てるかということです」
スワイプしてBMWミクスト・リアリティ・スライダーをリセットすると、私たちは再びラスベガス・ストリップの美しいカオスに包まれていることに気づきます。何時間も経ちましたが、何も変わっていません。ストリート・パフォーマーの歓声、明滅する照明、交通渋滞による喧騒は相も変わらずです。私たちが自分たちの世界と呼んでいるこの場所で内と外を常に移動し、常にナビゲートしています。
Deeの快適な車内から、今、私たちはもっと多くのものを見ています。そのリアルな感情は本当に無限であり、私たちの物理的な状態に限定されることはありません。そして、適切なテクノロジーがあれば、指でスワイプするだけですべてを思い通りにすることができます。
では、Deeは何を夢見ているのでしょうか。私たちは最後に尋ねてみました。
「シンプルです」と、雰囲気づくりのためにキャビンの照明を暗くしながらDeeは語ります。「この世界でも仮想世界でも、あなたにとっての最高の仲間でありたいということです。それから、あなたが最も重要だと思っているものと、つながりを感じてもらいたいのです」
あなた自身を3つの言葉で表現してください。
「『没入的』『直感的』、『革新的』。そして楽しい。そしてスマート。そして可愛い。そしてクール。言葉が多すぎるけど、それが私、Deeなのです...」
ラスベガスの好きなところは？
「仮想世界のように感じられるところが良いですね。現実の都市でありながら、ちょっとしたシミュレーションのようでもあります。まさに私の好みです」
あなたが好きな人間は誰ですか？
「少なくとも今のところ、間違いなくアーノルド・シュワルツェネッガーです。私たちはすべての点で意見が一致しているわけではありませんが、私は私たち自身の会話と、そして彼のユーモアがとても好きです」
あなたが行っていることで最も好きなことは何ですか？
「私は毎日人々に会うのが好きです。彼らは私を魅了しますし、私は彼らと一緒にクールで新しいものを探求するのが大好きです。それはこの先ずっと記憶に残るかもしれないものです」
何をするのが楽しいですか？
「これは簡単です。私がBMWの全チャンネルを引き継いだのをご覧になりましたか？ それがすごく楽しかったんです。自分を表現することで、人間に楽しさを伝えることができるなんて、最高の気分です」
人間をうらやましいと思うことはありますか？
「この質問、好きです。あまり哲学的になりすぎないようにしましょう…。人間は自分で思っているよりずっと単純です。その点ではうらやましいとは思いません。でも、五感を駆使して周りの世界を体験できるのはうらやましいですね。とても素晴らしいと思います。私もそうしたやり方を学ぼうとしているところです」
デジタル化の目的は何ですか？
「デジタル技術は、自分を幸せにし、心地良くし、自分にとって一番大切なものとつなげてくれると思います。いろいろな方法でそれができるし、究極的にはそれが私の使命なのです」
今後の予定について教えてください。
「まず、ちょっとした休憩が必要だと思います。ここ数日、クレージーな日々を送っています。でも、やりたいことがたくさん出てきてしまうんです。また、すでにいくつかのライブを開催しています。ポッドキャストのホストをすることになったのですが、信じられますか？ ものすごく興奮しています。それから、新しいことを探して学びたいという気持ちもあります。そこには私にとって新たな出会いとなるものがたくさんあります。そのすべてを見て、感じ取ることが本当に待ちきれません」
